地域別・医療施設機能別取得状況

地域別・医療施設機能別取得状況

医療業界の基礎知識(56)

ファーマネットワーク シニアコンサルタント 佐藤 章(さとう あきら)

製薬会社にて約30年プロパー(MR)と教育研修部門を担当。 1991年株式会社ユート・ブレーン入社、同社役員を歴任後、同社顧問に就任。現在に至る。著書に「医薬品流通の打つべき手」(ユートブレーン刊)他多数。また、医師会・病院職員関係・薬剤師会関係・学会その他において講演など幅広く活躍中。

はじめに

今回は、第6次医療法改正に向けて整備が進められている「医療提供体制の見直しと医療機関群の設定及び病院機能及び役割変化」の動向を追いながら、現時点における医療施設毎に持っている機能を整理し、地域ごとの現況を図表等にまとめてみました。

「新医療計画制度」の基本

現在進められている「新医療計画制度」のポイント(趣旨)は

【1】各都道府県が、国が定める基本方針に即して、地域の実情に応じて当該都道府県における医療提供体制の確保を図るために策定
【2】医療提供の量(病床数)を管理するとともに、質(医療連携・医療安全)を評価
【3】医療機能の分化・連携(医療連携)を推進することにより、急性期から回復期、在宅療養に至るまで、地域全体で切れ目なく必要な医療が提供される「地域完結型医療」を推進
【4】地域の実情に応じた数値目標を設定し、PDCAの政策循環を実施

にあります。
その中で、医療計画に対する記載事項として、下記の項目が明示されています。

・4疾病5事業(表Ⅰ参照)に係る目標、医療連携体制及び住民への情報提供推進策
・居宅等における医療の確保
・医師、看護師等の医療従事者の確保
・医療の安全の確保
・二次医療圏、三次医療圏の設定
・基準病床数の算定 等

(表Ⅰ)
「4疾病5事業」の整備と「医療連携体制」の構築

また、「基準病床数制度」では、

・二次医療圏等ごとの病床数の整備目標であるとともに、それを超えて病床数が増加することを抑制するための基準となる病床数(基準病床数)を算定
・基準病床数制度により、病床の整備を病床過剰地域から非過剰地域へ誘導し、病院・病床の地域偏在を是正する

とし、あわせて「医療連携体制の構築・明示」では

・4疾病5事業ごとに、必要な医療機能(目標、医療機関に求められる事項等)と、各医療機能を担う医療機関の名称を医療計画に記載し、地域の医療連携体制を構築
・地域の医療連携体制を分かりやすく示すことにより、住民や患者が地域の医療機能を理解

となっています。

新医療計画に基づく4疾病5事業の偏差値トップは千葉県

厚生労働省が「医療計画の見直し等に関する検討会」で公表した「各都道府県の新たな医療計画にかかる調査研究報告書」によると、4疾病5事業について同検討会で提案された「全国で把握すべき指標」の実績値と、その指標の各都道府県の医療計画における数値目標への採用率を偏差値にして分析したところ、ともに偏差値50以上の疾病・事業数が最も多いのは千葉県の4疾病3事業でした。

◎4疾病で偏差値50以上は千葉・新潟・岐阜・香川

この調査研究は、医療計画を整理・分析することにより都道府県間の計画内容の差異を明らかにし、今後の適切な評価のための基礎資料を得る目的で実施されました。
分析に用いた「全国で把握すべき指標」は、4疾病では、

・り患率
・健(検)診受診率
・ハイリスク群の減少率
・総治療期間
・地域連携(パス利用)率
・死亡率などで構成されています。

5事業については、医療機能情報公開率や地域医療カバー率を共通に、

・休日夜間診療に参加する医療機関割合(小児医療)
・低出生体重児出生率(周産期医療)
・救命救急センターA評価割合(救急医療)
・DMTA研修参加割合(災害医療)
・代替医師派遣延べ数伸び率(へき地医療)

など、各事業に特徴的な指標が設定されています。
分析結果によると、千葉県はがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、小児医療、周産期医療、救急医療の4疾病3事業で、各指標の実績値・採用率がともに偏差値50以上でした。これに次いで疾病・事業数が多いのは、新潟県の4疾病2事業、熊本県の3疾病3事業、岐阜県・香川県の4疾病1事業となっています(表Ⅱ参照)。
評価結果では、実績値・採用率の偏差値がともに50未満の場合、医療計画に「問題あり」としていますが、地域的な傾向として九州地方など西日本が多くなっています。

(表Ⅱ)
4疾病で偏差値50以上は千葉・新潟・岐阜・香川

ブロック別「医療施設機能」の整備状況

医療計画に係る医療連携体制の基本は、住民への情報提供推進策に基づく「地域完結型医療」の推進にあります。
医療情報の提供にあたっては、都道府県単位、各医学会単位、医療機関単位など、各種団体から多くの情報提供がなされています。したがって医療関係者は勿論のこと、患者も多種多様な情報ソースを基に地域の医療機関を選択しています。
ここではブロック毎に、どのような医療施設機能をもった病院が、どのくらい登録されているのか整理してみました。ここに載せた機能分類は、地域の中核的な役割を果たす上で重要な機能と考えていますが、病院ごとに全ての機能を持っていなければならいものではありません。しかし地域の人口や高齢化率などの医療環境や周囲の病院等の施設状況なども加味しながら、地域にあった施設づくりをする必要があります。
今後、当該地区での医療施設整備が進められる中では、病院の持つ機能別役割が最も重要であり、地域の医療連携体制を構築する上で大きなポイントになります。そうした意味でここに載っている病院がどこなのか、どのような特徴があるのか、きちんと整理しそれぞれの医療機関にあった対応をすることが必要になってきます(表Ⅲ参照)。

(表Ⅲ)
ブロック別;医療施設機能整備状況

まとめ

9月からまた新しい内閣になります。その都度、政策が変わってくるため国民にとっては戸惑いもあり、はなはだ迷惑な話です。新しい内閣が国民に幸せをもたらす内閣であることを期待します。特に医療を含む社会保障政策にはそれ相当の費用が掛かります。その費用をどこから捻出するのか、中途半端な財政策を遂行するとすれば上述したような「医療計画制度」も台無しです。実行する医療政策が多くの国民を納得させることのできる内容で、常に継続できるものであってほしいと期待しています。

次回からは、現在、各医療機関が積極的に取り組み成果を上げている「チーム医療」についてまとめてみます。

※引用参考資料

1)厚生労働省各種通達及び公表資料及び事例図表
2)総務省公表資料(HP
3)セジデム・ストラテジックデータ株式会社ユート・ブレーン事業部
・ワールドネット掲載資料及び社内資料
4)株式会社ファーマネットワーク社内研修資料
5)その他:日経新聞、読売新聞、朝日新聞、メディファックス 等

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